予約への到達が、およそ1.9倍に。広島県尾道市の観光ホテル、サイト改善の記録
- 実績
金井由宇(ゆうさん)
DX マーケティング 人間中心設計 UI/UXデザイン
目次
サイトを訪れた人が、予約のページまで届く。その数が、およそ1.9倍になりました。
広島県尾道市の、ある老舗観光ホテル。Webサイトをつくり直した前と後を、GA4の実数で見ています。
実データ・匿名掲載現場の出発点
国内の旅行者だけでなく、海外からの宿泊客も多く訪れるホテルです。
Webサイトは長く運用されてきて、写真も情報もひと通り揃っていました。アクセスも、月に2万PVを超えています。数字だけ見れば、とくに困っているようには見えないサイトでした。
本当の課題
ただ、数字を細かく見ていくと、ひとつ気になることがありました。
訪れた人の半分以上が、最初のページだけを見て離れていきます。全体の直帰率は54.0%。とくに、検索から来た人ほど早く離れていました(自然検索の直帰率 43.7%)。
人は、来ている。けれど、予約までは届いていない。
足りなかったのは、集客ではありませんでした。来てくれた人が、行きたい場所まで迷わずたどり着けること。必要だったのは、そちらのほうでした。
なぜ、その打ち手を選んだか
訪れる人は、いました。けれど、予約までは届いていませんでした。
ここで人を増やしても、迷ったまま離れていく人が増えるだけです。入り口を広げるより先に、入ってきた人の道を整える。順番は、自然とそちらに決まりました。
多言語対応も、同じ見方で考えました。一部の言語だけを丁寧に訳すか、精度は譲っても多くの言語に入り口を開くか。海外から訪れる人の顔ぶれを見れば、「まず自分の言語で読める入り口がある」ことのほうが先でした。訳文の精度が人の手にかなわないことは、承知のうえです。これは、お客様であるホテル自身の選択でもありました。
実際にやったこと
やったことは、派手ではありません。
- サイトの構造を組み直し、予約への動線を一本に整理する。
- 予約システムとの連携を見直し、「泊まりたい」と思った手が止まらないようにする。
- ページごとにタイトルを整え、検索から来た人が「ここで合っている」とすぐ分かるようにする。
- 多言語対応と、法人向けの導線も合わせて整える。
どれも、小さく。一度に作り変えるのではなく、効くところから順に手を入れていきました。
How — どう改善したか
改善レイヤー
成果が動いた背景にある層を、手を入れた分だけ並べます。◎ は、この案件で成果を動かした取り組みです。
- 競合・現状調査
- 情報設計(IA)の再構成
- 検索意図の設計
- UIデザイン
- UXデザイン
- 予約までの導線設計 ◎
- 多言語の入り口設計
- Webサイト制作
- SEO内部対策 ◎
- 表示速度の改善
- 画像最適化
- 構造化データ(JSON-LD)
- 予約システムとのAPI連携
- ページ別タイトル最適化 ◎
- GA4
- GSC
- 月次モニタリング ◎
◎ は、この案件で成果を動かした取り組みです。
Result — 何が変わったか
リニューアルの前と後
リニューアルの前と後を、GA4の実数で並べます。良い数字も、そうでない数字も、そのまま載せます。
| 指標 | Before | After | 変化 |
|---|---|---|---|
| PV | 22,004 | 25,978 | +18.1% |
| アクティブユーザー | 6,464 | 7,305 | +13.0% |
| 全体の直帰率 | 54.0% | 44.6% | −9.4pt |
| 自然検索の直帰率 | 43.7% | 25.9% | −17.8pt |
| 予約ページ手前への到達 (直帰率 50.4% → 29.5%) | — | — | +93% |
| PCからの利用 | (比率30.2%) | — | +59.1% |
※ グラフは同じ単位(%)で比較できる指標のみを、上の表と同じ実数で描いています。軸の上限は 60%。
数字を見ていくと、ひとつの動きが浮かびます。来てくれた人が、離れずに予約まで届くようになった、という動きです。検索から来た人の直帰率は17.8ポイント下がり、予約手前のページに届く人は、およそ1.9倍になりました。最初に引っかかっていた「来た人を案内できていない」が、ここで動いています。
ただし、この数字には、まだ言い切れないことがあります。
- これは、11月と3月、それぞれ単月の比較です。観光地のホテルなので、数字には季節の差が混じります。3月が良いのは、リニューアルだけの効果ではありません。
- チャネル別の増減には、GA4の計測設定を入れ替えた影響が含まれている可能性があります。
- 自然検索では「離脱が減った」一方で、訪れる人の数そのものは一時的に減ったかもしれません。検索エンジンがサイトを見直している期間と重なっていて、ここはまだ結論が出ていません。
だから、この数字を「成功」とは言い切れません。良い変化は出ています。それが本当に続くかどうかは、これから何ヶ月も見て、はじめて分かることです。
この改善から得た学び
数字を見続けていると、少しずつ見えてくることがあります。
集める前に、届くようにすること。この順番が変わるだけで、サイトの役割も変わり始めました。大きく作り変えなくても、入ってきた人の道を整えれば、数字は動きます。
そして、もうひとつ。一度動いた数字を、そのまま信じきれない、ということ。いま見ているのは、季節をまたいだ同じ月どうしの比較(来年の11月)、予約への到達が定着するか、一時的に減ったかもしれない自然検索の訪問者が戻ってくるか。良かった数字ほど、続くかどうかを疑いながら見ています。
いまも続いていること
このサイトは、納めて終わり、ではありません。いまも毎月、数字を一緒に見ています。
その場で「良くなりました」と言うことよりも、「良いままか、もっと良くできるか」を見続けること。成果は、一度では決まりません。だから、続けて見る人が要ります。
もし、あなたのサイトにも、人は来ているのに肝心のところまで届いていない感覚があるなら。あるいは、作ったきりで、伸びているのか衰えているのかも分からないままなら。
一度、いまの状況を見せてください。良いことも、まだ言い切れないことも、そのままお伝えします。
この取り組みをした人
金井由宇(ゆうさん)
DX マーケティング 人間中心設計 UI/UXデザイン
得意領域はマーケティング、ブランディング、人間中心設計(UI/UXデザイン)、プロジェクト管理・ディレクション、デザイン。化粧品業界で国内初の化粧品ブランドの輸入総代理店事業立ち上げ、セールス&マーケティング兼EC運営責任者などに従事し、その後は東京の大手ウェブインテグレーションを経て、リードスペースを起業。


