改善会社として、まず自分たちを改善する
- Web改善・導線改善
金井由宇(ゆうさん)
DX マーケティング 人間中心設計 UI/UXデザイン
公開した瞬間がスタート
「成果を改善する会社です」と名乗っています。では、自分たちのサイトは改善できているのか——正直に答えると、できていませんでした。
この記事は、その自己診断と、そこで下した判断の記録です。先に結論だけお伝えします。改善とは、作業ではなく意思決定でした。何を直すかと同じくらい、何を足さないかを決めること。私たちは自社サイトで、まずそれを実践しました。
目次
自分たちのサイトを、正直に診断した
最初にしたのは、自社サイトの正直な棚卸しでした。見えてきたのは、認めにくい事実でした。
私たちのサイトは「知見を発信する場所」ではなく、会社案内とサービス紹介と実績紹介の集まりでした。改善についての知見記事は、0本。改善会社を名乗りながら、自分たちの改善の蓄積を、ひとつも公開していませんでした。
分類だけは増えていました。カテゴリは10個あったのに、うち3つは記事が1本もない、空の箱です。整理した気になって、中身が育っていない——この事実は、あとで自分たちが下す判断に、そのまま跳ね返ってきます。
見つけた、3つの小さな問題
サイトを見直すと、構造的な問題が3つありました。
ひとつ目。トップページで知見記事を見せるはずの場所に、実績記事まで混ざって出ていました。読む人にとっては、これが「知識」なのか「実績」なのか、境界が消えていました。
ふたつ目。どのカテゴリのページを開いても、見出しが一律で「ブログ」と表示されていました。いま自分がどのテーマの場所にいるのか、読者には分かりません。
みっつ目。記事を読み終えたあとの「戻る」案内が、その記事の種類を考えていませんでした。
どれも派手な不具合ではありません。気づかないふりもできました。でも「公開した瞬間がスタート」と言う以上、読者の理解を少しずつ削るこのズレを、見過ごすわけにはいきませんでした。
改善を「意思決定」として見た
ここが、この記録でいちばん大事なところです。
分類を整えるとなると、人はテーマを細かく分けたくなります。私たちの最初の案も、そうでした。SEO、AI検索、AI活用、Web改善——テーマを4カテゴリに分け、いま注目されるAI検索を独立した看板として立てる案です。正直なところ、魅力的に見えて、迷いもありました。
そこで、立ち止まりました。問うべきは「分けられるか」ではなく、「分けるべきか」だったからです。
ひとつの理由は、さっき自分たちで批判したばかりの失敗でした。1人で書き続けて、4つの箱すべてに記事を供給できるのか。できなければ、また空の箱が生まれます。批判した過ちを、自分で繰り返すことになります。
もうひとつは、役割でした。AI検索の専門的な深掘りは、私たちの別サイトが担う領域です。この会社サイトで同じ土俵に立てば、両方が薄くなります。
だから、4カテゴリ案を捨てました。テーマは3カテゴリに絞りました。10個あった分類を、3つへ。
これは、機能を削る決断でした。足せたのに、足さないと決めた。
改善とは、まさにこの判断のことだ。
直すときに、自分へ課した制約
直すにあたって、ひとつだけ自分に課した制約があります。すでに読まれている記事の住所(URL)を、ひとつも変えないことです。自分たちの整理の都合で、読者がたどり着けるはずの場所を動かさない。結果として、変更した記事のURLは0でした。
大きく作り替えるのではなく、小さく、壊さずに直す。具体的なやり方そのものは、ここでは省きます。残したいのは手順ではなく、「何を守りながら直すか」という判断のほうだからです。
「直した」と「直っている」は違う
直したあと、すぐに「完了」とは呼びませんでした。「直したつもり」と「実際に直っている」は、別ものだからです。トップに実績がもう混ざらないか。各ページの見出しが、その場所にふさわしく出るか。戻る案内が、記事の種類に応じて変わるか。自分の目で確かめて、はじめて「完了」と呼びました。
測ってから言う——私たちが普段クライアントにしていることを、自分にも適用しただけです。
まだ、終わっていない
正直に書きます。これで完成ではありません。分類の実際の移し替えも、実績を独立させる作業も、まだ途中です。3つのカテゴリに何を書いていくかも、これからです。
未完成のものを公開するのは、正直、少し怖いです。それでも「公開した瞬間がスタート」と言う会社が、すべて完成するまで黙っているのは、やはり矛盾しています。途中を見せることも、改善し続ける会社の正直さだと思っています。
これは、連載のはじまりだ
この記録は、一度では終わりません。続けること自体が、改善会社のいちばん正直な証拠だからです。
次回は、私たち自身がAI検索——ChatGPTやAI Overviewsのような場所——にどう現れるかを、定点観測して公開します。語るのではなく、測る。改善を意思決定として続ける、その次の一歩です。
改善とは、作業ではなく意思決定である。
何を直すかと同じくらい、何を足さないかを決めることだ。
——だから私たちは、自社サイトでまずそれを実践した。
要点
- 改善会社を名乗りながら、自社サイトの知見記事は0本でした。
- カテゴリは10個あったが、うち3つは記事ゼロ。整理した気になって中身が育っていなかった。
- 構造的な問題を3つ発見した(種別の混在・見出しの一律表示・戻り導線)。
- テーマを細分化する4カテゴリ案を捨て、3カテゴリに絞った。改善とは「足さない」を決める判断だった。
- 既存の記事URLは1つも変えず(0件)に直した。読者がたどり着ける場所を守った。
- まだ途中であることも公開した。続けることが、改善会社の証拠だから。
次回:私たち自身のAI検索可視性を、定点観測して公開します(Self Proof 連載 #002)。
記事を書いた人
金井由宇(ゆうさん)
DX マーケティング 人間中心設計 UI/UXデザイン
得意領域はマーケティング、ブランディング、人間中心設計(UI/UXデザイン)、プロジェクト管理・ディレクション、デザイン。化粧品業界で国内初の化粧品ブランドの輸入総代理店事業立ち上げ、セールス&マーケティング兼EC運営責任者などに従事し、その後は東京の大手ウェブインテグレーションを経て、リードスペースを起業。